DEVOA デザイナーインタビュー
2021-22AW(秋冬)コレクションについて
2021年7月8日

"服と同じように少しづつチャレンジしたい部分があり、今回から手製靴も制作を始めました。"

今期特別に製作していただいた別注のダウンジャケット。

--- 秋冬では別注でダウンジャケットを製作していただきました。
作品のデザインや使用している生地などについてお聞かせください。

今回は過去のデザインからのサイズ感を変更して製作依頼がありましたので別注として制作させていただきました。
表生地はWool Super120’sの強撚生地を使い、マットな雰囲気が強い生地を使用しています。
中綿は贅沢にマザーグースを使い保温性を確保しています。マザーグースは一般的なダウンと比べてダウンボールが大きく保温性の効果が大きく異なります。
もちろん原料としても一般的なダウンと比べてとても高価になります。
パターンバランスは過去のデザインから少しゆとりを持たせて着用できるようにサイズを変更しています。
極力シンプルに着用感もリラックスサイズで制作しました。

--- レザージャケットは今回、3色展開されています。
それぞれ経年による色の変化も楽しめそうなカラーですが、どのように変化していくのでしょうか?

レザージャケットについては過去に同じモデルで黒を制作していましたので単純に気分を変えて違う色で製作しました。
今回制作した色は着用から数年経過すると色が濃くなり落ち着いた独特の色変化を持つ革を使っています。
是非長年着用での色の経年変化を楽しみながら長く愛用して頂けたらと考えて制作しました。

レザージャケットは経年変化の楽しめそうな3色で展開。

---ベストで使用しているベビームートンの特徴についてお聞かせください。

今回はコートなどのインナーとしても活躍できるようにも考えベストタイプで製作しました。
スペインラムムートンの柔らかさと天然繊維が持つ保温性を体感して頂けると思います。
今回制作したどのタイプのコートとも相性良くスタイリングに強弱を与えてくれると思います。

ムートンは今期ハイネックのベストで提案。

--- 以前から見た目はスッキリと、着用感はゆったりとした作品の製作に取り組んでおられますが、今回のコートはどのようなサイズ感で製作されていますか?

コート類はオーバーサイズという考えでは製作していません。
単純にニット類など少し厚みがある服を着用していてもコートを着用出来る様にサイズを調整しているに過ぎません。
DEVOAとしては体幹が縦長に見える事が根本ですのであくまでも単純なオーバーサイズのアウターではなく着回しの幅を広げるためにサイズ調整を行いました。
コートに関しては中綿を使ったタイプと中綿を使わないタイプとデザインを分けて制作しています。
特に中綿が入っているタイプでも着ぶくれしないように細かく調整しながら制作しています。

綺麗な雰囲気の素材をミリタリーコートに落とし込む。

ジャケットの上からでも羽織れるコート。着回しの幅を広げるためにサイズを調整。

--- パッチワークのストールも印象的でした。
素材も気持ちよく、スタイリングに幅を与えてくれそうなカラーバランスの作品でしたが、どんなことをイメージしてデザインしたのでしょうか?

ミリタリーをデザインの根底に置いていましたので兵士が戦地で即席で作ったストールをイメージしそれぞれ編み地や色と素材が違うニットをつなぎ合わせて、ハンドステッチなどで手作り感を演出しました。
形が変則的に作ってあり、特に決まってはいませんが二又部分を首にかけて長い部分を、適当に首周りに巻くだけでスタイリングに彩りを与えてくれると思います。

異なるニットを複数組み合わせた大判のストール。

--- 秋冬コレクションのシューズのうち、特に「FW-HSS」は全体的にフラットなデザインで非常に軽いことが印象的でした。
木型はレスリングシューズから着想を得て製作されているとのことですが、このシューズの特徴を教えてください。

今回より手製靴も制作を始めました。
機械製法と手製靴の差は手間によって大きく変わります。
それぞれメリットとデメリットがありますが手製靴でしか出来ない内容なども含めて 服と同じように少しづつチャレンジしたい部分があり今回から制作に移りました。
制作については制作者の協力が最も大きな進展でした。

今回の手製靴の制作者は東京・目白に靴修理工房を構える『Hoo ikai and passion leathers』の井開氏の協力無くして出来ませんでした。

彼との出会いは私が現在のアトリエに移った頃の8年前に遡ります。
当時は一般的な靴修理工房でお仕事をされていたのでDEVOAのソール修理等を依頼していました。
その後、独立して目白に店舗兼工房を構えて修理以外のオーダー靴も製作する事を聞いていました。
井開氏が独立後すぐに私からDEVOAとしての制作依頼をしていたのですが独立したばかりで忙しく断られていました。
それから3年程経った去年に同じように依頼した所、渋々制作を了承してくれました。
井開氏が渋々悩みながら了承した事はとても理解できました。

何故なれば、彼は製作する以上責任が伴い半端なものを作りたくない性格だからです。
私は井開氏のそんな性格の部分を知っていましたし、その部分があるからこそお願いしたい理由でした。
制作進行は私がデザイン画製作の後、デザインに併せて木型を削りました。
DEVOAの靴の木型は基本的に私が全て削ってマスター木型までを制作しています。
今回は手製靴でしたので機械釣りでは出来ない形に拘って製作しました。
シンプルで癖のある木型でしたが彼は問題なく制作してくれました。

非常に軽量なハンドメイドシューズ。チャレンジの気持ちを持って今回から制作をスタート。

私は性格上、製作途中にインソールのパーツの変更、木型のやり直し、ソールの変更等細かく色々と注文を付けながら改良をお願いする事が多々あります。
今回もサンプルまでに何度もやり直しをして頂きました、量産前にもデザインを崩さないように大きな変更を依頼しましたが何とか対応して頂きました。
完成した靴は正しく彼の性格を表した素敵な靴に仕上がっています。
彼より技術が優れた人は沢山いると思いますが、彼ほど私の意向を理解してくれて、それに対してあきらめず真摯に努力してくれる方は多くはいません。
井開氏には本当に感謝しています。

靴の製法は沢山ありますが製法のウンチクよりも実際に着用して履きやすく愛着が持てるかが特に重要でありそう言った所に拘って製作しました。
手製靴ならではのアフターケアも魅力の一つであり、ソールなども含め全て細かく修理対応が出来、経年変化も含めて長く愛用して頂きたい事が井開氏とDEVOAの想いです。

今回の靴の特徴については特に軽さを強調した材料使いにしています。
ヒール高を抑えてシンプルなデザインなのでパンツに対しての汎用性も高く合わせやすい靴に仕上がっています。
お客様は少しだけ手間かもしれませんが靴ベラを必ず使用し愛情持って着用してください。
必ず愛着が持てる靴に成長すると思います。

以前の靴と同様、靴の修理に関してはDEVOA取引先を通じて全て承っておりますが東京・目白にある井開氏の工房でも受けていますので是非ご相談して頂けると嬉しいです。
通常のソール交換含めて彼の優しい性格で細かく対応してくれます。


■HOO IKAI & Passion Leathers
東京都新宿区下落合3-21-4-1F
TEL03-6908-3031

品の良い光沢を持ったレザーが特徴的な一足。チャコールとブラックの2色展開。

--- バッグは今回、CECCHI DE ROSSI とのコラボレーションアイテムがありました。
コラボレーションに至った経緯についてお聞かせください。

こちらのコラボレーションについては数年前に私が展示会とは関係無いParis旅行での個人的な出会いから始まりました。
私は展示会期間では行く事が出来ない場所や、仕事とは関係なく通常の観光旅行の様にパートナーと一緒にParisの町や美術館等を楽しんでいました。
私達がパリに旅行をしていた時期はたまたまウィメンズのファッションウィーク中でした。
旅行中で滞在した場所はマレ地区という都心部に近いアパートでした。
私のパートナーがそのアパートの近くのマルシェ(日本で言う小規模の商店街)を歩いているときに素敵な革小物が置いてある店舗を見つけました。私はその場所に呼ばれてその店舗に入りました。
そこは店舗ではなく、CECCHI DE ROSSIの展示会場でした。

何ともびっくりした事は場所が都心からは近いですが確実に理解していないと通らないほどのマルシェ一角でおおよそ6畳程の小さな場所でした。
私達は展示会場である事を知らずに商品を構わず物色しながら、小さな革小物をお土産に購入しようと商品を渡した方がCECCHI DE ROSSIデザイナーのTomasso氏でした。
彼から内容を聞き謝罪し、彼と会話すると私のブランドを知っておりその際にお互いの名刺を交換して個人的なやり取りが始まりました。
それからは私がParisで展示会を行う際は展示会場に遊びに来てくれたりお互いの近況など個人的にメールをやり取りする程度でした。

今回のコラボレーションは旅先での出会いがきっかけに。

そんな中、コロナの影響でParis展示会に行く事が出来ない時にTomasso氏からのメールのやり取りからコラボレーションの話が始まりました。
Tomasso氏が製作する革小物はモールド成型という木型にはめ込んで製作するイタリアの伝統的な製法で制作された革製品達です。
特にTomasso氏の作品はワイナリーを家族で営み、ワインのタンニン等でなめされた革等、特徴も多くあります。

ここからは個人的な意見ですが品質とはアイデアを含めた正確な裁断や縫製が綺麗、上質な素材を使用等細かい部分までを含めた表現だと思いますが彼が作る作品はそういった事は抜きにしてTomasso氏の人間性が現れる温もりのある作品だと思っております。
決して縫製が悪い、品質が悪いというわけではなく商品の大切な魅力の部分として作り手の温もりが伝わる商品はとても重要だと再認識させてくれました。
そして色の表現や伝統的な技法も日本では製作しにくい素敵な商品だと思っております。
彼が制作しているモールド成型の手作り感、対照的なアルミバックルのギミック、日本では再現しにくい独特の色等、DEVOAでは出来ない事ばかりで楽しく制作できました。

--- どんな作品を製作したのでしょうか?

今回のコラボレーション作品はCECCHI DE ROSSIの代表作であるボディバッグをDEVOA限定カラーのタイプで1型、リュックとしても使えるトートバッグをDEVOAの和紙デニムを使った革のコンビネーションで1型の合計2型製作して頂きました。
それぞれがイタリア製独特の雰囲気がありスタイリングに遊びを与えてくれると思います。
CECCHI DE ROSSIでは今回の商品以外でも沢山の商品ラインナップがありますのでコラボレーション以外の作品も是非見てくれると嬉しいです。

リュックとしても使えるトートバッグ。DEVOAの和紙デニムと革のコンビネーションで製作。

CECCHI DE ROSSIの代表作であるボディバッグをDEVOA限定カラーで。

最後に...

私は直接お話しする機会はありませんがこの場をお借りしてお客様には感謝をお伝え致します。
特にこの様な現状の中、変わる事無く製作が続けられている事はとても幸せな事であり常にこの環境にある事は弊社だけの力では無い事を痛感しております。
そして生地製作にかかわる方々、各縫製者、国内外の取引先店舗様とDEVOAに関わる全ての方にも併せてお礼申し上げます。

それぞれの生活環境に併せて悩み事や考え事があると思いますが出来るだけ前向きな考えと少しの行動力で状況は大きく変わると信じております。
皆様の日々の健康と毎日の笑顔を願っております。


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